天才児ジェマ

その昔ですね、まだ、絵で食えなかったころ、5年前くらいかな?いろんなバイトをしてまして。その中のひとつが、子供に絵を教えるというもの。一応、グラフィティー教室となってたけど。ただの、子守みたいなもん。
なぜかというと、教えてたところは、バリーマムという、ダブリンの中でも、一番荒れた地域にあって、その学童みたいな施設はそのど真ん中。まあ、ダブリンでは有名な、危ない地域。
今はちょっとはよくなったのかな?男の子は、みんな、やんキーみたいな。みんな小学生くらいだったけど、大変。なんせ荒れてるからね、問題児ばっか。
まあ、そこで、子供の相手をするみたいな仕事で、あんま、絵なんか描いてなかったね。
そんな中で、毎回来る女の子がいて、それが、天才児ジェマ。小さい子で、目が大きく、前歯が少し出てたから、リスみたいな子だなという印象。10歳ぐらいではなかったかな。?その子の描く絵がすごいんだ。鉛筆でドローイングなんだけど、10歳の女の子がバリーマムで住むという事が出ている。描くのは、不思議のアリスの、ハンプティーダンプティー、とか、スポンジボブとか、プロレスラーといった、彼女の周りにあるもの。絵も結構ちっちゃくて、かわいいんだけど、ちょっと邪悪。ところどころに、なぜか悪。俺としては、この子は今にでも、プロデビューできるくらいの、感性と、実力があった。そのこの作品は、荒れた町、バリーマムの文化が自然とでていた。いつも、作品ほしーなって思ってた。お母さんには、この子はとても才能があるから、ぜひ、美大とか行って、延ばしてあげたほうがいいですよとは、いっておいた。聞き流された感じだったけど、、ジェマの絵も、写実的にうまいというわけではないから、普通の大人にはわからないかもしれない。そこの地域の子は、高校も終わらせるのかな??大学に行く人なんていないかもしれない。しかも、今は15歳くらいで、ファッションとか男のことかに、興味があるのかな?もう、あのような絵は描いてないかもしれない。それは、その当時から危惧していた。あんな絵を描いてたら、ほかの友達に馬鹿にされるかもしれないし、そういう才能を伸ばしてくれるベストの、環境にはいないかもしれない。
これは友人とも話していたのだけれど、そういう純粋なクリエイティビティーが年をとるにつれてなくなってしまうのは残念。
そういう子供心は、その人にとっても大切で、社会にも重要なんじゃないかな?
まあ、あんまり子供過ぎて、30超えてからスケボーやろうとする人も、困るけどね。